下川町_移住者インタビューBOOK
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下川町は、自分の意思をしっかり持ち、居場所を探すようにして辿り着いた人が多い町。長尾綾さんも同じように、旅をするように道内を転々として暮らした末にここに来た。下川町の前に住んだのは、海の近くのまち。ハードな仕事で、心は疲れきっていた。「もう少し緑に囲まれた場所で、ゆっくり暮らしたい」。そう感じていた折、NPO法人「森の生活」の求人を見つけた。森林のまち下川町で、森と共にある暮らしを広める仕事。迷わず応募し採用され、越してきてはっきり実感したのは「環境の静かさ」だという。その静けさはきっと、長尾さんに自分を取り戻すきっかけをくれたことだろう。冬だからできる楽しみもたくさんある。先日は、20人ほどの参加者を集めてリースづくりイベントを行った。以前から   「森の生活」が季節ごとに開催してきた町民向けイベントの一つで、森にあるトドマツやドライにした野花を使う。「自然のものなので、きれいにできなくってもあたりまえ」。参加者と共に、思い思いに手を動かした。「下川に来て、一人で森にフラッと入るのが好きになった」という長尾さん。興味のあることと仕事が、緩やかにつながっている。道内を転々としていた頃と大きく変わったのは、思いを持ってこの町へやってきた移住者の仲間がたくさんいるということ。誘い合わせて冬の森で雪板すべりをしたり、散歩に出かけたり。「童心に帰って、笑い合える人がいるのって、いいなと思います」。1人でいても、仲間といても。どちらも正直な、ありのままの長尾さんがいた。自分と向き合う、静かな冬時間PLAYNAMEFROMJOB写真上/リースづくりに使う材料は、森の生活の敷地内に生えているものや、林業の現場から出た未利用材を有効活用。写真下/雲一つない晴天に恵まれた日。リースづくりの後、焼き菓子とお茶を持って森林散策へ。海沿いに降る雪と違うのは、「フワフワでサラサラ」なところ。

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