下川町_移住者インタビューBOOK
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jジoョjジoョnニiていた3月の下川町。「この春、町に新しいパン屋ができるんです」という幸せなニュースを聞いてやって来ました。パン屋の名前は、旭川から移転する材として市場に回らない丸太を活用しようと立ち上がった、林業家による「木こりビルダーズ」が、店舗の施工を担当しました。手にレンガを積み上げているところでした。パン屋の要である、石窯を仕上げていたのです。見上げれば、木の皮がところどころ残っているむき出しの丸太が、力強く交差しているのが見えます。私の視線に気づいて、「木の皮を剥くのが、本当に大変だった」と笑うカイさん。木材だけでなく、断熱に使った藁やもみ殻まで、すべてが町内産の材料。ワークショップを開催し、カイさんをはじめ、町民や地域住民みんなが建設に参加しました。丁寧に手をかけたことが、佇まいからまっすぐ伝わってきます。町に立ち並ぶ肉屋や豆腐屋などの専門店と同じように、パン屋としてその一つになれること。下川町産の小麦を使うことも、自然発酵させることも、薪窯で焼くという選択も、あくまで“普通”を目指すため。「その普通が難しいんですけどね」と話しながら、石窯のレンガをもくもくと積み上げるカイさん。その背中に、優しい春の光が窓からそっと注いでいました。雪解け水に光が反射して、キラキラし。建築中に入ると、店主のカイさんがコテを片カイさんが目指すのは、「普通のパン屋」。2.5.25theme   |連載| 1通目 | 2020年5月

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