―雪にめがけて走り出した息子さんをやさしい眼差しで見守りながら「この子は下川生まれですからねぇ」とつぶやいた。東京で働いていた二人が、これからの人生を考えたときに生まれてきたのが「下川町への移住」という選択肢でした。慧 2016年1月だったかな、旦那が知らない間に移住フェアに行っていたんです。ある日突然「移住先を決めてきた」って。峰成 そうだったよね(笑)。「どこに?」って聞かれて、下川町の話をしました。慧 「下川ってどこ?」と驚きましたね(笑)。ただ、私も結婚、出産、子育てとこれからの人生を考えると、やっぱり生まれ育った北海道のことを思い出していたんです。独身で若いときには都会は楽しいけど、この環境で子育てしていく自信はないな、と。なので、北海道という決断は純粋にうれしかったです。峰成 僕は青森出身なのですが、当時は転職活動をしていて、その一環で移住フェアに行ったんです。下川町のまちづくりの話もおもしろかったし、観光協会の事務局長のポストが空いていると伺って、チャレンジしたいなと思ったんです。まちづくりなんて考えたことがなかったけど、「観光」なのでエンタメ的な要素もありそうだし、企画の仕事にも興味があったので。慧 その翌月の2月には一人で下川に行っていたよね。峰成 まずは一度行ってみようということで、1年で一番寒い時期に(笑)下見に行きました。日程も、アイスキャンドルミュージアムに合わせて。最初の印象は、透明感があって、無駄なものがない、とにかくきれいな町だなと。自分も田舎生まれですし、この静けさにほっとしました。慧 その後、3月に入籍して、彼は5月に、私は6月に下川に移住してきました。あっという間の半年でしたね。峰成 今は観光協会の事務局長として、観光客の窓口はもちろん、町内のイベント運営や町外へのプロモーションなどを行って人の魅力が地域の魅力。多趣味で元気でおもしろい人たちが集まる仕事もプライベートも区別なく、素直に飾らずに暮らせるのがいいんです。PROFILE高松峰成さん 32歳 観光協会 青森県出身慧(けい)さん 32歳 東川町出身2016年5月移住
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