下川町_移住者インタビューBOOK
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―「この食べ方、知ってる?とってもおいしいの」と妻の眞由美さんが、採れたてのスイートコーンを手渡してくれた。皮を1枚残したままで湯気があがっている「とうきび」(北海道でのとうもろこしの呼び名)は、目を見開くほど甘くておいしい。これだけおいしいスイートコーンを作りながら「うちはトマトがメインだから、遊びでやっているような感じだけどね」と話す吉田さんの笑顔は農家そのもの。就農からの出会いとは。下川に来る前は塾で働いていたんです。小中学生を中心にした塾で、教えるだけではなく営業もやっていました。塾講師になったのは、なんてことない、友人に誘われたから。大学卒業後に、塾講師になったという友人が新車に乗って遊びにきて「人が足らないから一緒にやらないか」って。その車がうらやましくてね(笑)。それから、北海道も含めていろんな場所   で塾の立ち上げや講師として働いてました。昔は、都会へのあこがれもあり、北海道は活気がない感じがして嫌だったんですよ。忙しい方が充実感があって好きで。でも、職場と家の往復を繰り返していると、こうやって同じ仕事をしている限り、どこに住んでいても変わらないなと思い始めました。そんなとき、たまたま見つけた農家さんのブログがおもしろくて。網走時代も父親の世代がみんな離農して札幌に行っちゃったのを見てましたし、農業はきつくて大変、金にならないと思ってたので、農家になりたいなんて、考えたこともありませんでした。でもそのブログでは、もともと優秀なビジネスマンだった方が、工業生産的な手法も取り入れたりと、いろんな新しいことにチャレンジしていて、イメージが変わったんです。農業は、やり方によっていろいろできるんだ、おもしろそうだなと。それから就農支援などをしている団体に相談にも行ったりしましたが、40歳を超え職場と家の往復なら、どこに住んでも変わらない手探りで始めた農業。毎年毎年、勉強でおもしろい会社と家を往復する忙しさを脱し未経験から農業の道へ。10年目を迎えた吉田さんの、農業と下川とPROFILE吉田公司さん 58歳 農家 網走市出身 2009年移住

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