下川町_移住者インタビューBOOK
6/24

   その時は京都の料理―「どうぞ、いらっしゃいませ」 開店前の忙しい時間、私たちが訪れると、仕込みの途中だったのか白い前掛けを外しながら調理場から出てきてくれた。網走や京都で料理人として働いてきた南さんが、ちょっとしたきっかけで下川に辿り着き、うどん屋を始めるまでのストーリー。そこには気負わずに飄々と、しかし丁寧に仕事を続ける南さんの姿がある。「下川に来たら、やっぱり名産のうどんが食べたいでしょう」というやさしい言葉に、どっしりとした安定感が見え隠れした。下川町に来たきっかけは、兄なんです。当時、兄が下川で友人とエミュー(ダチョウのような鳥)を育てて販売する会社をやっていて、「下川はうどんが名産なのにうどん屋がないから、お前やらないか」って声をかけられて。屋で調理人をしていましたが、それじゃあということで移住してきました。最初はエミューの会社の手伝いをしていましたが、その後、五味温泉で調理人として働き始めて。将来は居酒屋をやりたいと思っていたので、ホールもやらせてほしいとお願いをして、少しずつ町の人たちに顔を売っていきましたね。今の店舗は2年前に移転してきたのですが、前の店はカウンター4席にテーブル2つの小さな店で、2005年にオープンしました。五味温泉で働いていた時に「店をやりたいんだよね」といろんな人に話していたら、友人から「昔ラーメン屋だった物件があるから、とりあえず見てみたら」と紹介してもらって。小さいし古いかなと思ったのですが、まずはここからやってみようと始めてみたら、あっという間に10年近く経っていました。人口は少ない街ですが、飲食店をやることに対して不安はあまりなかったんです。下川の名産であるうどんを扱うと決めていましたから。やっぱり旅をしたり、遊びに店をやりたいと言い続けると、舞い込んできた「下川でないとできない店」をやりたかった旅をしたら、地元の名産が食べたいでしょう下川ならではの店をやりたかったんです。PROFILE南 匡和さん 39歳 飲食店経営 札幌市出身 2001年移住

元のページ  ../index.html#6

このブックを見る