– STORY 03 –

町の人からいただくもの

 昔から、ずっと和物が好きだった。和太鼓を演奏するのも好きだし、着付けも自分でできるようになりたくて。

だから町内に住む“着付け名人”に教えていいただいた。1回500円。都会では考えられないくらい安いでしょう。けど「少しでも着物を楽しめる人が増えてくれたら」という思いで教えてくださる方がいるから、私も楽しく続けられる。着物を着るのは、大事な趣味の一つ。晴れ着として子どもたちの入学式や卒業式に着るのが、毎年の楽しみになっている。

 いま持っている着物は、全部町内の方からのいただきもの。長女も、今では和装の心得を、理解しているみたい。地元でもあるこの下川で、いろんな方に気にかけていただきながら、家族でのびのび過ごす……着物だけじゃなくて、安心して暮らせる環境そのものも、町の人からもらっている気がする。

枡田 ともみ(3児の母 娘12歳、息子10歳・8歳)

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