【NPO法人しもかわ観光協会】会長 石谷 英人

下川町出身、東京や静岡での生活を経て26歳の時に地元に戻る。地元でガソリンスタンドを運営する傍、観光協会や教育委員など、多方面で町の取り組みに関わる。


アレカラ
石谷さんの印象に残っている下川町の大きな出来事は何ですか?

やはり平成の大合併。合併するかしないかの判断に関する説明会が各公区で行われた時には多くの町民が集まったのが印象的で、あの時、町に一体感を感じました。合併した方が国からの補助があってそれを町に活かせるっていう意見もあったり、自由度が今後なくなる部分も多いって意見もありました。

いまの下川町のおもしろさの一つに「やりたいことができる自由な雰囲気」があるかと思うのですが、平成の大合併はこれを形づくるのにどう関係したと思いますか?

やはり最終的に単独でやろうとなった中でも、町民それぞれ不安もあったと思います。国の政策に逆行していくわけですから、交付税が減らされるのではないかとか心配な声があって、役場内でも削れるとこは削ろうという様々な試行錯誤をしていました。例えば役場から運営費を受け取っている観光協会でも、イベントの経費削減につなげる工夫をしました。お金をかけて有名な方を呼んで集客力を上げるのではなく、こんな面白いことをやったら人が来てくれるんじゃないかとか考えて、なるべく自分たちの手でやった。その姿勢は今も続いていると思います。

イマダカラ
いま下川町で暮らし働く意味って何だと思いますか?

私も若い頃、下川を離れて、静岡や東京に住んだことがあるのですが、都会では毎日いろいろなイベントをやっているじゃないですか。それって私からみたらとても楽しかったんです。だから、都会でいろんなことを見て、体験したことは、地域に帰って来たときに活かせると思います。きっかけづくりの多くは町の中でやっていると思いますけど、その中で移住して来た人が手伝っていたり、リーダーを務めたりすることはできますよね。あとは人との繋がりが大事だと思うので、移住してくる方も地域のいろいろなことにどんどん飛び込んだ方が、すぐに打ち解けると思います。

下川町はよそから来た人でも気軽に町の行事に関わる機会が多く、すぐ仲間に招き入れる町の器の大きさを感じます。それがこの町の活気の所以でしょうか。

何かが変わる時って新しい仲間ができた時だと思います。そして下川町のように、昔から移住者を受け入れて来た町だからこそ、来た人が仲間に加わることで生まれる変化はあると感じます。

コレカラ
都会からでも、石谷さんのようにUターンでも、これから下川町に来られる方々に石谷さんは何を期待しますか?

観光でいうとイベントを盛り上げてもらうためにも、いろんな人に手伝ってもらい、集客力を伸ばしていきたいですね。そして今後とも下川町を盛り上げる一人に私もいたいです。一線を引くことは大事かもしれないけど、役職をやめても、取り組みはやめない。「こういうことをやりたい」と思うことに対して、仲間を募ってやるとかね。

なるほど、お仕事じゃなくなっても自己実現として下川町でやりたいことがあるのですね。そう思わせるこの町の良さってどこだと思いますか?

一言でいうと人でしょう。こうしていろいろ手伝ってもらう中でざっくばらんに話ができる人がたくさんできたわけですから、集まってくれる人はいるだろうって安心感はありますね。やりたくてもまだまだ時間がかかるかなと思うことは、今から仲間を増やすのが大事ですよね。ボランティアでお手伝いしてもらって、忙しい方も1日だけでも一緒に関わってもらえれば、それで知り合いになって、いろんな繋がりができると思います。

ココカラ
下川町から発信できる生き方って何だと思いますか?

やっぱり家に帰ってゆっくりできるような、精神的に豊かな生活じゃないですかね。家庭を持っているのであれば、家族とも一緒に夕食が食べられるし、そこから自分の趣味に時間を割くこともできますし。都会に住んでいたら、通勤時間とか時間に追われる部分は多いかもしれないけど、こちらでは職場まで10分くらいで着きますしね。

石谷さんにとっての一日の中での楽しみって何ですか?

家族と一緒に夕食を食べているときですかね。仕事でいうとガソリンスタンドですから、お客さんと他愛のない話をするのは楽しいですね。

下川町らしい生活の豊かさですね。ありがとうございました!