
Q:シカの数は減っているのでしょうか?(今年に入ってからあまり見かけていません)
A:ご質問ありがとうございます。シカの数はライトセンサスという手法を用いて、毎年概数を算出しています。これは、シカが安心して牧草を食べにくる日没後の時間帯に、一定の距離を車で走行してライトを照らすことで鹿の頭数を数え、㎞あたりの頭数から町全体の鹿の頭数を推測する方法です。下川町のデータを過去11年分確認しますと、観測を始めた平成26年は42頭、最新の令和6年は103頭です。シカの個体数は増加傾向となっており、直近の3年は102頭、106頭、103頭と横ばい状態であることが読み取れます。
Q:難しいお仕事だと思いますが、理想と現実のギャップはありますか?課題視している事や変えたいことがあったらお聞きしたいです。
A:ご質問ありがとうございます。問題視していることは、いかに町民に、この問題を自分事に感じてもらうかということです。ヒグマを町に寄せ付けないためには定期的に草を刈りはらって見通しをよくするなど、非常に労力のかかり、範囲の広い対策が必要となります。ヒグマの目撃をした際、その個体にどんな特徴があり人に対してどんな反応をしたかといった詳細情報を蓄積することも、住み分けを図るうえで必要です。獣害対策を自分事に感じ、自分の身や資産は可能な限り自分で守るという意識も、野生動物に関する知識とともに普及する必要があると考えています。
Q:処理された動物の死骸はどこへ?
A:ご質問ありがとうございます。アライグマやキツネの死骸は埋め立てゴミとして処理されます。エゾシカは、ほとんどが湧別町か西興部村に運ばれ、ヒグマは、湧別町に運ばれています。湧別町では化成処理という方法で粉々に分解され、廃棄処分されています。西興部村では減容化施設というところで、微生物の力によって容積を小さくする処分方法がとられています。
Q:協力隊卒業後はどんな進路を考えていますか?
A:ご質問ありがとうございます。二人とも別の仕事をしながら、鳥獣被害対策にも関わるという働き方を模索中です。森は、環境の保全や森林整備といった野生動物の生息環境の維持管理に関わるような仕事をしながら、鳥獣被害対策にも貢献していきたいと考えています。渋谷は農業などの仕事をしながら、鳥獣被害対策にも関わるという働き方を考えています。元々農業に興味があったこともそうですが、野生動物対策と農業は非常に関連性のある職業で、片方の経験がもう片方にもいきるという特徴があるのではないかと考えています。
Q:活動終了後も下川で活動するならどんなことが考えられますか。
A:ご質問ありがとうございます。引き続き野生動物対策の専門員として被害対策を担うか、別の仕事をしながら猟友会の有害鳥獣被害対策実施隊の一員として活動するといった形が現実的に考えられると思っています。
Q:難しいと感じている事
A:ご質問ありがとうございます。活動していて難しいと思ったことは、エゾシカの捕獲、ヒグマの捕獲です。エゾシカは警戒心が高いので、射程圏内に入るまえに逃げてしまうことや、民家の周辺等撃てない場所にいる、シカとの距離が遠すぎて撃てない(撃っても当たらない)ことが沢山あります。ヒグマに関してですが、銃を用いた捕獲は危険を伴います。シカとは違い、クマを半矢にしてしまうと人間に襲い掛かってくる可能性があります。また、クマが出没しているという連絡を受け、危険個体の判断をし、銃を持って現場に駆けつけてもクマの姿がないことがほとんどです。銃を所持しており、なおかつ自分の身の安全が保障されるような距離にクマがいる、という限られた条件が揃ってやっとクマを捕獲できます。なので、下川町のクマの捕獲はほとんどが箱罠による捕獲です。箱罠の捕獲も簡単ではありません。クマは警戒心が高く知能もあるので、なかなか罠に入りません。箱罠を設置できる場所も限られるので、捕獲したい個体が罠に入るとは限りません。 野生動物の捕獲から有効活用まで、様々な理想を現実にするにはまだまだ課題が山積していると感じます。
Q:町内外ともに力を借りたい事
A:ご質問ありがとうございます。町外に対しては、鳥獣対策や普及啓発活動の知見の共有をお願いしたいと思います。地域によって具体的な対応方法や連携体制は様々ですが、下川町にとってよりよい方法を探るうえで非常に重要なことだと思います。 町内の方には、キツネやヒグマに餌を与えるような行動は慎んでいただきたいということと、定期的な草刈りやヒグマ目撃情報の共有、市街地出没の際は速やかに屋内に避難していただくなど、町の取り組みへのご協力をお願いしたいと思います。


















